解剖学は、人の病状の変化や疾患の有無を診るために、さまざまな医療専門職にとって必要不可欠な基礎科目のひとつです。そのため、医療専門職の国家試験にも出題されますが、解剖学は覚える内容が多いため勉強法に悩む方もいるのではないでしょうか。
この記事では、解剖学で学ぶ内容やおすすめの勉強法を紹介します。解剖学で学んだ知識を活かせる職業の例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
解剖学で学ぶ内容は?
解剖学は生理学や形態学のうちの一分野で、おもに人体の構造を学びます。人体を解剖し、小さな構成成分に分けて、それぞれの機能的役割や相互関係について学ぶ分野です。
医療に関わるには人体の正常な構造を理解することが大前提で、そのためには人体の構造について追求する必要があります。これが「解剖学」であり、医学の中でも基礎中の基礎となる領域です。
また、更に対象とする構造の部位や大きさに応じて肉眼解剖学、神経解剖学、組織学、発生学があります。
解剖学には実習もあり、医学教育の充実と医療の発展を目的として「献体」されたご遺体を用いておこないます。単に学名を覚えるのではなく、みずから血管や神経を観察し、考察や問題提起、解決することで学びます。
解剖学を学ぶ際におすすめの勉強法
解剖学は暗記する内容が多いだけでなく、覚えなければならない単語自体が聞き慣れず難しいものが多い分野です。
解剖学を学ぶ方法はいくつかありますが、中でもおすすめの勉強法を以下の4つ紹介します。
- 本を読んで学ぶ
- アプリで学ぶ
- 大学や専門学校で学ぶ
- なりたい職業の養成スクールや通信講座で学ぶ
順番に確認しましょう。
本を読んで学ぶ
解剖学についてかかれている本を読んで学ぶことができます。
初心者向けの本や、イラスト、図解が多い本、わかりやすく噛み砕かれている本は、解剖学に初めて触れる場合の取っ掛かりとしておすすめです。暗記が必要な単語も多いため、本はピンポイントに効率よく調べるのにも役に立ちます。
ただし、本を読むのみで解剖学を理解するのは難しいため、一般的には大学や専門学校、スクール、通信講座などで学ぶ際の補助として活用する場合が多くなります。
アプリで学ぶ
アプリを用いた勉強は、タップするだけで必要な情報が見つけられるため学習効率が上がります。またスマートフォンのみで勉強できるため、本や参考書を持ち歩くよりも通学時間や隙間時間を利用しやすい点も魅力です。
アプリには、3Dで臓器や組織ごとに学べるもの、クイズ式で気軽に問題に挑戦できるもの、関連する内容を同時に覚えられるものなどがあり、効率よく正解にたどりつくことができます。
大学や専門学校で学ぶ
大学や専門学校では、医学部をはじめ薬学部や看護学部、健康科学部やその他の福祉や栄養を学ぶ学部などで解剖学を受講できます。
解剖学を大学や専門学校で学ぶ場合、解剖学のみを単体で学ぶのではなく、病理学や免疫学、微生物学などの解剖学と関連のあるほかの科目も同時に学ぶことが多いため、体系的に学ぶことができます。
なりたい職業の養成スクールや通信講座で学ぶ
養成スクールや通信講座で学ぶ勉強法は、すでに仕事をしている方でも気軽に学べる点が魅力のひとつです。仕事のない土日に通う、仕事後の夜間に通うなど選択肢がある場合もあり、ライフスタイルに合った方法で受講できます。
また、目指す職業やご自身のレベルに合ったコースを選択できる養成スクールや通信講座もあります。
解剖学の勉強で注意すべきポイント
解剖学の勉強ではどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。注意すべきポイントを4つ解説します。
- はじめのうちからすべてを理解しようとしない
- 丸暗記をしない
- 教科書や参考書を読むだけで終わりにしない
- 問題は一度解くだけで満足しない¨
順番に確認しましょう。
はじめのうちからすべてを理解しようとしない
解剖学は専門用語が多くあり、覚えなければならない量が膨大です。教科書や参考書を読んで一から理解しようとすると、なかなか先に進めないこともあります。
はじめから教科書の内容を完全に理解しようとせずに、興味がある分野や得意な分野から取り掛かるのがポイントです。
丸暗記をしない
覚える量が膨大な解剖学は記憶力勝負のように思われますが、単に丸暗記をするような勉強法では、試験には合格しても試験が終わったあとには頭から抜けてしまいます。また応用が効かず、実際の現場に立つうえでは役に立ちません。
そうならないためには、まずは基本的なテキストにて全体の流れや普遍的な人体や組織の成り立ち、しくみについて理解します。次に各臓器や組織の特徴を理解し、基本知識とそれらを応用できる能力を培うような勉強法を取り入れましょう。
教科書や参考書を読むだけで終わりにしない
教科書や参考書を読むことは大事な勉強法のひとつですが、読むだけで終わりにならないように注意しましょう。教科書や参考書を読むことである程度理解したと感じたら、次に模式図や人体の構造をイラストに描いてみるのがおすすめです。より理解が深まります。
問題は一度解くだけで満足しない
解剖学に限らず、勉強は繰り返し問題を解くことが大切です。一度記憶しただけでは忘れてしまうことも多いため、問題集や過去問などを何度も繰り返し解き確実に知識を身につけましょう。
解剖学を活かせる職業
解剖学を活かして活躍できる職業にはどのようなものがあるのでしょうか。例を5つ紹介します。
- 理学療法士
- 柔道整復師パーソナルトレーナー
- ヨガインストラクター
- アスレティックトレーナー
順番に確認しましょう。
理学療法士
理学療法士とは、身体に障害がある方などの運動機能回復や、運動機能の維持・向上を図り、医師の指導の下で運動指導や物理療法をおこなう医療技術者です。国家資格が必要になります。
障害には、脳性マヒや事故・病気による障害、脳卒中の後遺症や老化による障害などさまざまで、身体機能回復のための関節可動域練習、筋力増強練習、神経筋促進運動、歩行動作練習などを通して日常生活が送れるようにすることを目標にしています。
また、障害がある方だけでなく、ケガの予防やスポーツのパフォーマンスの向上など、健康な方に対しても活躍する場面が広がっています。
理学療法士になるためには、医療の基礎として解剖学や生理学、運動学などを学ぶ必要があります。また、病気や障害についても学びますが、そのためにも基礎となる心身のしくみへの十分な理解は必須です。
理学療法士になるための勉強では、解剖学の中でもとくに骨格系、関節、靭帯、筋系、神経系について理解を深めます。
柔道整復師
柔道整復師は、スポーツや日常生活で生じた打撲、捻挫、脱臼、骨折などの損傷に対して、手技やテーピングなどを用いて応急的または医療の補助的な方法により回復を図る職業です。こちらも国家資格が必要になります。外科手術や薬品の投与ではなく、自然治癒力を最大限に発揮させる治療をおこないます。
柔道整復師になるためには、解剖学、生理学、運動学、病理学などの基礎科目に加えて、柔道整復理論、柔道整復実技、関係法規などの臨床専門科目を学ぶ必要があります。人の身体に触れて施術をおこなうため、解剖学を学ぶことで人体の構造を把握しておくことは基礎であり必須です。
柔道整復師は、接骨院や整骨院、整形外科、クリニックなどで活躍します。さらに、スポーツトレーナーとしてスポーツ施設、高齢者の運動機能回復訓練のために介護や福祉の分野での活躍も期待されています。
パーソナルトレーナー
パーソナルトレーナーとは、ダイエットやボディメイクなどそれぞれの目標達成に向けて、一人ひとりに合わせたトレーニングメニューを組んだり食事のアドバイスなどをおこなったりする職業です。
ダイエットや健康の維持を目的とする方が多いほか、近年では高齢者向けの健康指導においての活躍も期待されています。
パーソナルトレーナーになるために必須な資格はないものの、トレーニングや栄養指導などに関する知識は必要です。知識の証明として、健康運動指導士やJATI認定トレーニング指導者資格などの関連する資格を取得しておくと活躍の幅がより広がります。
ヨガインストラクター
ヨガインストラクターは、ダイエットや腰痛の解消、運動機能の回復、ストレス発散などの効果が期待できるヨガを教える職業です。基本はヨガの指導をしますが、ダイエットやボディメイクを目的としている方には、食事指導やカウンセリングをおこなう場合もあるため、スポーツトレーナーの知識もあるとより仕事の幅が広がります。
ヨガは膝や肩、腰に痛みを持つ人もおこなうため、身体のしくみを正しく理解していないと更に悪化させてしまう恐れもあります。そのため、解剖学の知識が必要不可欠で、ヨガの資格講座「全米ヨガアライアンスRYT200」では解剖学は必須科目になっています。
解剖学で学ぶおもな内容は、骨やカンセル、アーサナで使う筋肉、筋収縮、関節についてなどです。骨盤の歪みやO脚、X脚、肩こりなどの解消のために、骨の形や名称、筋肉とのつながり、関節の動きを学びます。解剖学を学ぶことで、ケガをせずにヨガを楽しみ不調の改善へと導くことができます。
アスレティックトレーナー
アスレティックトレーナーは、スポーツ選手のコンディションを整えて、より良いパフォーマンスを発揮するためにさまざまな方面からサポートする職業です。おもな仕事内容には、選手の健康管理やケガの予防、応急処置、リハビリ、生活面や健康の管理などがあります。
スポーツトレーナーと混同されやすいですが、アスレティックトレーナーはより専門的な面でのサポートが大きいのが特徴です。
アスレティックトレーナーになるために必須な資格はないものの、学ぶべき知識やスキルは多数あります。たとえば、日本スポーツ公認アスレティックトレーナーの資格を取得しておくと活躍の幅がより広がりやすくなります。
アスレティックトレーナーとして働くためには、ルールや特性の動き、起こりやすいケガ、適したトレーニングメニューなどの競技に関する知識が必要です。さらに、運動生理学、バイオメカニクス、トレーニング科学、スポーツ心理学などのスポーツ科学、更に機能解剖学などのスポーツ医学を学ぶ必要もあります。
とくに、解剖学を学ぶことで骨や筋、関節の名称や動きなどを把握しておくことは、アスレティックトレーナーとして重要な要素のひとつです。
まとめ
解剖学は、医療専門職にとって基礎となる必要不可欠な科目のひとつです。範囲も広く学ぶ内容が膨大ですが、丸暗記するだけの勉強法では試験のための勉強にしかならず、忘れやすいため注意が必要です。
解剖学ははじめからすべてを理解しようとせず、興味のある分野から進めていくのがおすすめです。教科書や参考書、アプリなどをその都度上手に利用しましょう。
解剖学を学ぶと、さまざまな専門職に活かすことができます。たとえばこの記事で紹介した理学療法士や柔道整復師、パーソナルトレーナー、ヨガインストラクター、アスレティックトレーナーなど、スポーツとも関わりのある職業にも活かすことができます。
解剖学の勉強法に悩んでいる方は、ぜひ紹介したポイントやおすすめの勉強法などを参考にしてください。
まずはASPトレーナースクールの無料体験授業を受講してみよう
ASPトレーナースクールはパーソナルトレーナー専門の養成スクールで、基礎や本質を深掘りしたカリキュラムにこだわっています。実際のカリキュラムでは、栄養学や生理学、機能解剖学などの基礎となる科目からはじまり、より深掘りした専門分野や指導実践と続いていきます。
パーソナルトレーナーの基礎として解剖学についても学べるため、人体の構造と機能を理解しトレーニングメニューの作成にも活かすことが可能です。
すでに仕事をしている方でも安心して学べるように、オンライン授業にも対応しています。マンツーマンスクールのため、完全にご自身のペースでスキルアップができる点も魅力です。
パーソナルトレーナーを目指したい方は、ASPトレーナースクールの無料体験授業をぜひお気軽にお申込みください。