アスレティックトレーナーは医療機関で働いたり、ご自身で開業したりするなど、さまざまな働き方があります。スポーツ選手やアスリートと関わる機会が多く、リハビリやトレーニングに興味がある方におすすめの仕事です。
働き方によって年収は異なるため、アスレティックトレーナーを目指しているなら平均年収を知っておくと良いでしょう。
この記事では、アスレティックトレーナーの年収を解説します。アスレティックトレーナーとして年収を上げる方法を知りたい方は参考にしてください。
アスレティックトレーナーの平均年収は?
アスレティックトレーナーとは、スポーツ選手やアスリートが怪我をした場合の応急処置やリハビリ、トレーニングなどをおこなうトレーナーです。
怪我の応急処置やリハビリだけでなく、選手が高いパフォーマンスを発揮できるように体調やメンタルの管理、食事の指導など、仕事内容は多岐に渡っています。
JSPO 日本スポーツ協会が発表している「第1回 日本のトレーナー実態調査(The 1st Professional Survey of Trainers in Japan (2018)」によれば、アスレティックトレーナーの平均年収は約521万円です※1。
※1出典:JSPO 日本スポーツ協会「第1回 日本のトレーナー実態調査(The 1st Professional Survey of Trainers in Japan (2018)」
アスレティックトレーナーとほかの職業の年収を比較
次の表は、アスレティックトレーナーと、仕事内容が似ている職業の年収を比較したものです。
|
平均年収 |
アスレティックトレーナー |
約521万円 |
スポーツトレーナー※2 |
約370万円 |
はり師※3 |
約388万円 |
あん摩マッサージ※4 |
約382万円 |
柔道整復師※5 |
約379万円 |
実際の年収は働き方や職場によって異なりますが、アスレティックトレーナーの平均年収は仕事内容が似ているスポーツトレーナーやはり師などに比べると、高い傾向があります。
※2出典:求人ボックス「スポーツトレーナー」
※3出典:求人ボックス「鍼灸師」
※4出典:求人ボックス「あん摩マッサージ指圧師」
※5出典:求人ボックス「柔道整復師」
アスレティックトレーナーが年収を上げる方法
アスレティックトレーナーの年収を上げたいと考えている方は知識と技術を磨くことが大前提ですが、次のような方法も試してみると良いでしょう。
- アスレティックトレーナーに関する資格を取得する
- プロスポーツチームに所属する
- アスリートと専属契約を結ぶ
- 開業する
上記を順番に解説します。
アスレティックトレーナーに関する資格を取得する
アスレティックトレーナーが年収をあげたい場合は、次のような資格の取得を検討してみましょう。
- 公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
- 認定アスレティックトレーナー(JATAC-ATC)
- NSCA-CPTなど
アスレティックトレーナーの仕事自体は資格が必須ではありません。しかし、実質的には資格がないと厳しく、必要だといえます。
職場や働き方にもよりますが、上記のような資格を取得すると収入も上がる可能性があるため、取得を検討しましょう。
プロスポーツチームに所属する
アスレティックトレーナーの就職先は以下のとおりです。
- ジム
- 医療機関
- 会社や企業
- 教育機関
- 治療院
- プロスポーツチームなど
就職先によって年収は異なり、プロスポーツチームになれば高額な年収も期待できます。
実際、上述の実態調査※1によれば、数は少ないですがアスレティックトレーナーで年収が1,001万円以上の方もいます。
アスリートと専属契約を結ぶ
アスレティックトレーナーはスポーツ選手のリハビリやトレーニングの指導などもおこなうため、アスリートと専属契約を結ぶケースもあります。
プロのアスリートと契約を結べれば、大幅な年収アップにつながる可能性は高いです。
しかし、アスリートが結果を出せなければ解任もありえるため、常に向上心を身につける必要があります。
開業する
アスレティックトレーナーとして会社やチームに所属する以外に、ご自身で開業するといった選択肢もあります。
上述の実態調査※1によれば、アスレティックトレーナーで活動している方で、開業している方の割合は18.8%となっており、第2位です。
開業すれば、価格をご自身で決められるため、年収を増やせる可能性はあります。
ただし、アスレティックトレーナー以外の資格が必要になる場合があるため、注意しましょう。
アスレティックトレーナーが年収を上げるために資格は必要?
アスレティックトレーナーがなんらかの資格を保有していれば、年収を上げるきかっけにはなります。
たとえば、資格を保有していると、給与の良い職場に就職できたり、クライアントから信頼されるポイントになったりする可能性は高いです。
また、資格取得のために勉強した内容が仕事に反映され、ご自身の評価を上げることにつながるケースもあります。
年収を上げるには、技術や知識を磨くのが大前提です。技術や知識を磨くことの目標として資格取得を目指してみましょう。
アスレティックトレーナーが年収を上げるために取得しておきたい資格
アスレティックトレーナーが年収をあげるために取得しておきたい資格は以下のとおりです。
- JSPO-AT
- JATAC-ATC
- NSCA-CPT
- NESTA-PFT
上記を順番に解説します。
アスレティックトレーナーにおすすめの資格①JSPO-AT
JSPO-ATとは、日本スポーツ協会が発行している、日本における公的なアスレティックトレーナーの資格です。
取得要件 |
次のいずれかをひとつを満たす
- 日本スポーツ協会の養成講習会を受講する
- 免除適応コースの承認校でカリキュラムを履修する
|
合格率 |
51%(2022年度の養成講習会参加者) |
取得までの費用 |
養成講習会なら約8万円 |
取得要件は、「日本スポーツ協会の養成講習会を受講する」か「免除適応コースの承認校でカリキュラムを履修する」のどちらかを満たす必要があるため、ご自身の状況にあわせて選択しましょう。
なお、全体の合格率は不明ですが、2022年度に実施された検定試験では定員100名の養成講習会受講者のうち51名が合格し、免除適応コースの合格者と合計すると431名が取得しました。
上述の実態調査※1によれば、アンケート調査に回答したアスレティックトレーナーの約8割が取得している資格です※6。
アスレティックトレーナーに必須の資格といえるため、持っていない方は取得しましょう。
独学でアスレティックトレーナーになりたいと考えている方は、スポーツトレーナーとして経験を積み、養成講習会に参加してJSPO-ATの受験資格を獲得しましょう。トレーナーとしての基礎知識をつけるために、トレーナー養成スクールを活用するのもおすすめです。
ただし、養成講習会の受講人数には限りがあるため、専門学校や大学を卒業するのが一般的です。
※6出典:JSPO日本スポーツ協会「アスレティックトレーナー – スポーツ指導者」
アスレティックトレーナーにおすすめの資格②JATAC-ATC
JATAC-ATCとはジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会が認定している資格です※7。
取得要件 |
特定の資格を持つ、あるいは条件を満たしており、協会の講習会や通信教育講座でスポーツ科学分野の単位を取得する |
合格率 |
不明 |
取得までの費用 |
入会金:10,000円 |
取得要件は柔道整復師や理学療法士などの国家資格を持つ、あるいは2年制以上の専門学校や大学のスポーツ科学系のコースを卒業し、協会が認定する講習会や通信教育講座で4領域69単位を取得する必要があります。
なお、特定の資格を取得している方は単位が不要です。
ほかの資格に比べて取得要件が難しく、上述の実態調査※1によれば、取得している方の割合は少ない資格になります。
しかし、スポーツ医学やスポーツ生理学、スポーツバイメカニクスなどに関する正しい知識を身に付けたことを証明できる資格のため、アスレティックトレーナーとして年収を上げたい方は取得してみましょう。
※7出典:NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)「JATAC-ATCについて」
アスレティックトレーナーにおすすめの資格③NSCA-CPT
NSCA-CPTとは、さまざまな年齢や性別の方を対象にトレーニング指導をおこなう知識が身に付いていることを証明する資格です※8。
取得要件 |
高校を卒業している、あるいは高卒認定試験に合格している
18歳以上
NSCAジャパンの正会員か学生会員
有効なCPR/AEDの認定者※9 |
合格率 |
82.3%(2022年度) |
取得までの費用 |
独学なら約8万円~約9万円 |
取得要件は18歳以上で高校を卒業している、あるいは高卒認定試験に合格しており、NSCAジャパンに年会費を支払い、有効なCPR/AEDの認定者なら、NSCA-CPTの試験を受験できます。
2022年度の難易度は82.3%となっており、独学でも勉強すれば合格できる可能性は高い資格です。独学の場合、取得までの費用は受験費用や公式のテキストや過去問題集などを合計して約8万円~約9万円かかります。
パーソナルトレーナー向けの資格ではありますが、医学的、運動生理学的な専門知識と、実際にトレーニングを指導する技術が身に付くため、資格取得を検討してみましょう。
※8出典:NSCA「NSCA認定資格とは」
※9資格認定に有効なCPR/AEDの認定には条件があります。
アスレティックトレーナーにおすすめの資格④NESTA-PFT
NESTA-PFTとは、健康やフィットネス、ウェルネスの改善をサポートする総合的な知識や技術を習得したことを証明する資格です※10。
取得要件 |
必須要件
(全て満たす必要がある) |
- NESTA JAPANからPFTテキストを購入済み
- CPR・AEDの技能を習得・保持している
- 日本国籍または、日本での就労可能な在留資格を有する
- 満18歳以上で、高等学校卒業以上の者、高等学校卒業程度認定資格試験合格者、またはNESTAが認定する教育カリキュラム修了者
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該当要件
(ひとつ以上に該当する) |
- 1年以上のパーソナルトレーナー・インストラクターなどの実務経験がある
- 1年以上の運動部指導、フィットネス企業勤務経験がある
- 体育系または、医療系の大学・専門学校を卒業している
- NESTAの認定する養成講座、養成コース(認定校・認定アカデミー含む)を受講済みである
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合格率 |
50%~60% |
取得までの費用 |
独学なら約8万円~約21万円 |
取得要件は必須要件と該当要件にわかれおり、必須要件は全部満たす必要があります。
一方で、該当要件はいずれかひとつ満たせば良いので、現在のご自身の状況で該当する要件はないか確認しましょう。
合格率は公式から発表されていませんが、50%~60%といわれています。なお、資格取得までの費用は、独学なら約8万円~21万円です。
NESTA-PFTでは、身体に関する幅広い知識や、トレーニング全般に関する偏りのない知識を求められるため、資格取得を目指せばアスレティックトレーナーとしてのスキルアップにつながります。
また、クライアントとのコミュニケーション対応力やビジネススキルも磨けるため、アスレティックトレーナーとして独立したいと考えている方にもおすすめです。
※10出典:NESTA JAPAN(ネスタジャパン) -全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会「NESTA PFT認定 取得までの流れ」
まとめ
上述の実態調査※1によれば、アスレティックトレーナーの平均年収は約521万円です。
似たような内容の仕事と比較すると高額な傾向はありますが、実際の年収は働き方や職場によって異なります。
アスレティックトレーナーとして働いていて年収を上げたい方は、知識や技術を磨き、NSCA-CPTやNESTA-PFTのような資格取得や、年収の高い職場への転職などを考えてみましょう。
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