パーソナルトレーナーは正社員だけでなく、業務委託として働く選択肢もあります。業務委託のパーソナルトレーナーは正社員とは働き方が異なるため、業務委託ならではのメリット・デメリットをしっかり把握したうえで働くかどうかを検討することが大切です。
この記事では、業務委託のパーソナルトレーナーはどのような働き方なのか、業務委託のパーソナルトレーナーになる方法、メリット・デメリット、収入の目安などを詳しく解説します。
業務委託のパーソナルトレーナーの働き方とは
業務委託のパーソナルトレーナーは、ジムやフィットネスクラブと業務委託契約を締結し、契約先でフリーランスのトレーナーとして仕事をする働き方です。
契約先での仕事内容は、指名してもらったお客さまへのセッションの提供が中心です。
よくある例としては、個別のトレーニングプログラムの提供や器具の使い方の指導、フォームの指導、セッションの計画・実施、フィードバックの提供などがあげられます。正社員のパーソナルトレーナーと違い、ジムの経営や運営に関わることは基本的にありません。
また、働いた分の報酬は、セッションごとにお客さまから受け取ります。受け取った報酬の一部は、手数料として契約先のジムへ支払うしくみになっているケースが多いです。多くの指名を受けてセッション数を増やせば、高収入にも期待できます。
業務委託のパーソナルトレーナーになる方法
業務委託のパーソナルトレーナーになる方法は、おもに以下の2つがあります。
- ジムやフィットネスクラブの求人に応募する
- ジムやフィットネスクラブからスカウトを受ける
ジムやフィットネスクラブの中には、正社員だけでなく業務委託の求人も募集している店舗があります。業務委託の求人にエントリーし、採用されれば業務委託のパーソナルトレーナーとして働くことが可能です。
ちなみに、募集の有無は転職サイトやジムの採用ページから確認できます。
また、トレーナーに関する高いスキルをお持ちの方は、ジム側から業務委託のパーソナルトレーナーとしてスカウトを受ける場合もあります。
スカウトを受けて働く場合は契約内容に関する要望をジム側に伝えやすいメリットがありますが、スカウトを受けるには高いスキルや実績が必要になると考えられます。そのため、まずは業務委託の求人に応募する方法を選ぶと良いでしょう。
業務委託のパーソナルトレーナーとして働くメリット
業務委託のパーソナルトレーナーには、正社員にはないさまざまなメリットがあります。以下では、業務委託のパーソナルトレーナーとして働くメリットを紹介します。
集客のノウハウがなくても仕事を確保しやすい
業務委託のパーソナルトレーナーとして働く場合、おもなお客さまは契約先のジムの利用者となります。0の状態から集客をおこなう必要がないため、フリーランスや開業した場合と比較すると、集客のノウハウがない方でも仕事を確保しやすいです。
頑張り次第では高収入が期待できる
先述したように、業務委託のパーソナルトレーナーはセッションごとにお客さまから報酬が支払われます。収入はセッション数に応じて変動し、セッション数を増やすほど高収入が期待できます。
店舗の運営に関する業務をおこなう必要がない
正社員のパーソナルトレーナーは、会員数向上のための企画立案や実施、受付業務、予約の管理、設備の管理、スタッフの教育など、セッション以外にも店舗の運営に関するさまざまな業務をおこなわなければいけません。
一方、業務委託のパーソナルトレーナーの仕事は、セッションの提供が中心です。店舗の運営に関する業務をおこなう必要がないため、セッションにより集中的に取り組めます。
勤務時間の自由度が高い
勤務時間の自由度の高さも、業務委託のパーソナルトレーナーならではのメリットです。
業務委託のパーソナルトレーナーは、セッションの時間だけ働くスタイルが基本です。勤務時間の自由度が高いため、「夕方以降は家族と過ごす時間を確保する」「副業と両立する」など、ご自身のライフスタイルに合わせた働き方を叶えられます。
ただし、勤務日数に条件を設けるジムもある点にはご注意ください。
初期費用や経費をおさえやすい
業務委託のパーソナルトレーナーは、ご自身でジムを開業するケースに比べると初期費用や経費をおさえやすいです。
ジムを開業するためには、店舗の準備費用や家賃、水道光熱費などさまざまな費用がかかります。具体的な費用は状況によって異なりますが、パーソナルジムを開業する場合は500万円〜2,000万円かかるケースも珍しくありません。
しかし、業務委託のパーソナルトレーナーは契約先のジムで仕事をおこなうため、これらの費用をかけずに始められます。
業務委託のパーソナルトレーナーとして働くデメリット
業務委託のパーソナルトレーナーには、いくつか覚えておくべきデメリットもあります。ここでは、業務委託のパーソナルトレーナーとして働くデメリットを紹介します。
集客力がジムに左右される
業務委託のパーソナルトレーナーは集客のノウハウがなくても仕事を確保しやすい一方、集客力がジムに左右されるデメリットもあります。
先述したように、業務委託のパーソナルトレーナーのおもなお客さまは、契約先のジムの利用者です。ジムの利用者が少ない場合は、十分な集客が見込めない可能性も考えられます。そのため、契約するジムは集客力を考慮したうえで選びましょう。
安定した収入を得られない可能性がある
業務委託のパーソナルトレーナーは、セッション数に応じて収入が左右されます。セッション数が多い場合は高収入に期待できますが、セッション数が少ないと収入に不安が生じる可能性もあります。
社会保険や有給休暇などの福利厚生がない
業務委託のパーソナルトレーナーは個人事業主なので、一般的な正社員のような福利厚生がありません。社会保険や厚生年金がないため、独立後はご自身で国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。
また、正社員と違って有給休暇もなく、仕事を休んだ分だけ収入が減ってしまいます。
確定申告をおこなう必要がある
業務委託のパーソナルトレーナーとしての年間所得が48万円を超えている場合は、確定申告の手続きが必要です。
確定申告とは1年間の所得金額に対する納税額を計算し、税務署に申告する手続きです。確定申告の時期は申告書類の準備や経費の計算など、事務的な作業をおこなう時間を確保しなければいけません。
業務委託で働くパーソナルトレーナーの収入の目安
業務委託のパーソナルトレーナーの収入は、こなしたセッション数に応じて決まります。単価の目安はジムごとに異なり、一般的に1,980円〜5,000円程度(1セッションあたり)が目安です。
1セッションあたりの単価を把握したうえで目標とする月収を決めると、1ヵ月間のうちに必要なセッション数の目安が見えてきます。たとえば、1セッションあたりの単価が3,000円、目標とする月収を30〜60万円とする場合は、以下のセッション数が必要です。
目標とする月収 |
1ヵ月間のうちに必要なセッション数
(1セッションあたりの単価を3,000円とする場合) |
30万円 |
100セッション |
40万円 |
134セッション |
50万円 |
167セッション |
60万円 |
200セッション |
なお、セッション時間の目安は、1セッションあたり50分〜60分です。セッション時間を基に1日にこなすセッション数の上限を決めると、スケジュールを立てやすくなるでしょう。
業務委託のパーソナルトレーナーを副業にする選択肢もある
業務委託のパーソナルトレーナー一本で働くことに不安がある場合は、副業として始めるのもおすすめです。
業務委託のパーソナルトレーナーは勤務時間の自由度が高いため、副業にも向いています。たとえば、本業が休みの日や仕事終わりにパーソナルトレーナーをする働き方も実現できます。
また、セッション時間は約1時間であり、1セッションあたりの拘束時間が短いため、平日昼間の空き時間にトレーナー業をおこなうことも可能です。
パーソナルトレーナーの副業で得た所得が20万円を超える場合は確定申告が必要
副業として業務委託のパーソナルトレーナーに取り組む際は、合計の所得額に気を配りましょう。その理由は、副業の所得額が20万円を超える場合は、確定申告の手続きが必要になるためです。
なお、ここでいう所得とは、収入から必要経費を引いてのこった額を指します。収入が20万円を超えていても、必要経費を引いてのこった額が20万円を下回る場合は確定申告不要です。
未経験でも業務委託のパーソナルトレーナーとして働ける?
結論、パーソナルトレーナーという働き方そのものは、鍼灸師や理学療法士のように国家資格にあたるものがないため、仮に無資格者や未経験者でもパーソナルトレーナーとして働くことは可能です。
しかし、業務委託のパーソナルトレーナーの求人は、応募資格としてパーソナルトレーナーの経験を設けているものが多い傾向にあります。そのため、トレーナー業の経験がまったくない場合、業務委託のパーソナルトレーナーとして働くのは難しいと考えたほうが良いです。
また、仮に経験の有無が求人に記載されていなかったとしても、経験やスキルのないパーソナルトレーナーと業務委託契約を結ぶとは考えにくいです。
更に近年では、パーソナルトレーニングの受講中にクライアントが怪我をするトラブル事例が多発していることがニュースに取り上げられるようになり、その件数は100件を越えると報告されています※。
その背景には専門知識や指導経験が浅いトレーナーが、クライアントに過剰なトレーニングや食事制限を強いるような指導を行なったことで怪我につながっていることも多く、今後のパーソナルトレーニング業界としては、利用者側がトレーナーの資格や経歴を加味して慎重に判断する傾向が予想されます。
未経験の状態で業務委託のパーソナルトレーナーを目指すなら、まずはパーソナルトレーナーとしての経験を積む、または専門のトレーナー育成スクールに通うことをおすすめします。
※出典:独立行政法人国民生活センター「「パーソナル筋力トレーニング」でのけがや体調不良に注意!-コロナ禍でより高まる健康志向や運動不足解消の意外な落とし穴!?-」
業務委託のパーソナルトレーナーに必要なスキルとは
業務委託のパーソナルトレーナーとして働くためには、トレーニングに関する知識、コミュニケーション能力などさまざまなスキルが必要です。以下では、業務委託のパーソナルトレーナーを目指すうえで必要性の高いスキルを紹介します。
トレーニングに関する知識
業務委託のパーソナルトレーナーの仕事内容は、お客さまへのセッションの提供が中心です。満足度の高いセッションを提供するためにも、トレーニングに関するさまざまな知識を事前に身につけましょう。
トレーニングに関する知識は多様にありますが、代表的な例としては以下の5つがあげられます。
- トレーニング方法の知識
- トレーニング効果の知識
- 筋肉の働きに関する知識
- 食事の栄養素に関する知識
- 機能解剖学・生理学・バイオメカニクスの知識
上記のように、パーソナルトレーナーはトレーニング方法だけでなく、身体のしくみや食事に関する専門的な知識も求められます。専門的な知識を学ぶのが難しいと感じる場合は、トレーナー育成スクールの受講も検討しましょう。
接客スキルやコミュニケーション能力
業務委託のパーソナルトレーナーが安定した集客をおこなうためには、顧客満足度の高い接客スキルが必要です。高い接客スキルは顧客の獲得やリピート率の増加につながり、結果的に収入にもつながります。
また、お客さまの食事管理や運動状況、生活習慣などを把握し、個人に合わせたトレーニングメニューを作成するためには、コミュニケーション能力も必要です。円滑なコミュニケーションを心がけることで、お客さまとの信頼関係も築きやすくなります。
パーソナルトレーナー関連の資格
業務委託の求人を探す前に、パーソナルトレーナー関連の資格取得を目指すのもおすすめです。
業務委託の求人は、パーソナルトレーナー関連の資格取得者であることを条件に設けるものが多い傾向にあります。資格を取得していれば応募できるジムの選択肢が増え、より理想的な契約先で働きやすくなるでしょう。
パーソナルトレーナー関連の資格は、たとえばNSCA-CPTやNESTA-PFT、NASM-CPTなどさまざまです。トレーナー未経験で資格に関する知識がない場合は、資格取得をサポートするトレーナー育成スクールも活用しましょう。
まとめ
勤務時間の自由度の高さや初期費用のおさえやすさなど、業務委託のパーソナルトレーナーの働き方には数々のメリットがあります。ただし、安定した収入を得られない可能性がある、正社員のような福利厚生がないなどのデメリットがあることも覚えておきましょう。
また、業務委託のパーソナルトレーナーにはさまざまな求人があります。理想的な契約先を見つけるためにも、ジム公式サイトの採用ページや求人サイトは普段からチェックすると良いでしょう。
なお、業務委託のパーソナルトレーナーには、さまざまなスキルや経験が求められます。パーソナルトレーナーとしてのスキルに自信がない場合や経験が浅い場合は、トレーナー育成スクールの受講を検討することがおすすめです。
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