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2024.01.15コラム

NSCA-CPTとはどんな資格?受験資格や取得にかかる費用、合格後の働き方を解説

NSCA-CPTは、アメリカの団体が発行しているパーソナルトレーナーの資格です。試験では一般人だけでなく、アスリートも指導できるほどの知識を求められるため、保有していることでパーソナルトレーナーとしての質や指導力が高いと証明できます。

そのため、パーソナルトレーナーを目指す方はNSCA-CPTの受験資格や取得費用、注意点、NSCA-CSCSとの違いなどを知っておくと良いでしょう。

この記事では、NSCA-CPTの受験資格や取得費用、メリット、注意点などをわかりやすく解説します。取得後の働き方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

NSCA-CPTとはどんな資格?

NSCA-CPTとは、ストレングストレーニングやコンディショニングの指導者育成や継続教育などを目的とした国際的な教育団体であるNSCA(National Strength and Conditioning Association)が定める認定パーソナルトレーナーの資格です。

取得すると、クライアントの健康と体力のニーズに関して、トレーニングやコンディショニング全般の指導をおこなうことのできる優れた専門的能力を持つ人材として認定されます。

合格するにはトレーニングに関する知識だけでなく、医学的・運動生理学的な専門知識とトレーニング指導技術などが必要です。また、パーソナルトレーナーだけでなく、スポーツ指導者や理学療法士なども取得している資格になります。

 

NSCA-CPTの取得までの流れ

NSCA-CPTの取得までの流れは以下のとおりです。

 

  1.  申込みまでにNSCAジャパンに入会手続きをおこない、有効なCPR/AED認定証を取得する※1
  2.  マイページから出願と受験料を支払う
  3.  学歴証明の書類とCPR/AED認定証を発送する
  4.  案内メールにしたがってテストセンターを予約する
  5.  予約したテストセンターで受験する

 

NSCA-CPTは受験者が都合の良い日時を選択して、全国にあるテストセンターで受験するシステムです。
出願するタイミングによっては混雑が予想されるため、受験希望日の2ヵ月前を目安に出願の手続きを完了しましょう。

試験終了後、すぐに結果が発表されます。試験に合格していて資格認定の条件を満たしているなら、数日~1週間程度でマイページに認定情報が表示されます。認定証は毎月2回、初旬と中旬に発送されるため、届くまで待ちましょう。

なお、認定日から1ヵ月を過ぎても認定証が届かない場合は、NSCAジャパン試験担当まで問い合わせてください。

※1 有効なCPR/AED認定証を取得していなくても受験することは可能です。ただし、資格認定の条件に含まれるため、後日提出する必要があります。

 

NSCA-CPTの受験資格

NSCA-CPTの受験資格は以下のとおりです。

 

  • 出願時および受験時にNSCAジャパンの正会員か学生会員、英文会員のいずれかの会員
  • 出願時に満18歳以上である
  • 出願時に高等学校卒業以上または高等学校卒業程度認定試験合格者

 

つまり、高校を卒業している、あるいは高卒認定試験に合格している18歳以上で、NSCAジャパンに年会費を納めている方なら、資格取得を目指せる専門スクールに通ったり、独学で知識を身につけたりすることで、取得できる可能性があります。

なお、受験資格とは別に、資格認定には「有効なCPR/AED」の認定者※2であることが条件に含まれています。受験の際に必須ではありませんが、出願前に講習会を受講して、認定を取得しましょう。

※2資格認定に有効なCPR/AEDの認定には条件があります。

 

NSCA-CPTの受験費用

NSCA-CPTを取得するには、NSCAジャパンの正会員か学生会員のいずれかになる必要があります。次の表は、NSCAジャパンの年会費をまとめたものです。

 

  年会費(税込) 対象
正会員 13,200円 個人
学生会員 11,000円 大学生、大学院生、専門学校、高校生、中学生

 

次に、NSCA-CPTを取得するためにはアメリカ心臓協会によるCPR(心肺蘇生法)+ AED(自動体外式除細動器)の教育プログラムを受ける必要があります。
NSCAジャパンが認めた団体での講習会に出る必要があり、講習会によって料金は無料~10,000円程度と変動します。

さらに、NSCA-CPTの資格認定試験料として、一般の NSCA-CPT認定試験受験料は46,000円、NSCA-CPT認定校に在籍している場合は特別受験料35,500円がかかります。

たとえば、一般の方がこれからNSCA-CPTを独学で取得しようとした場合、次の料金がかかります。

 

試験 受験費用
NSCAジャパンの正会員年会費 13,200円
有効なCPR/AEDの講習会の受講費用 無料~10,000円程度
NSCA-CPT認定試験受験料 46,000円
合計 59,200円~69,200円

有効なCPR/AEDの講習会の受講費用にもよりますが、NSCA-CPTの受験費用の目安は約60,000円~約70,000円と覚えておきましょう。

なお、上記の費用とは別にテキスト代や問題集代がかかり、学校やトレーナー育成スクールに通えば授業料を支払うことになります。

 

NSCA-CPTの試験時間

NSCA-CPTの試験は3時間です。試験中はいつでも途中休憩を取れますが、休憩中であっても試験時間は進行していきます。休憩中は、あらかじめ許可されている場合以外、個人の持ち物には触れられません。

万が一遅刻した場合、予約した試験開始時刻から15分以上遅れると、原則として受験は認められないため注意しましょう。

例外として、空席状況や条件によってテストセンターが遅刻者を受け入れる可能性があります。遅刻として認定されなかった場合は、欠席扱いとなります。

 

NSCA-CPTの難易度

試験問題は、専門職に必要な科学的基礎知識から実践応用にわたる包括的な知識について網羅されます。

NSCA-CPTの出題範囲は、スコアード問題140問とノンスコアード問題15問で構成されており、次のような配分で出題されます。

 

  問題配分 問題数
クライアントに対する面談と評価 25% 32問
プログラムプランニング 31% 45問
エクササイズテクニック 31% 43問
安全性・緊急時の手順・法的諸問題 13% 20問
ノンスコアード問題 15問
合計 100% 155問

 

上記のうち、エクササイズテクニックに関する映像や画像を見て解答する問題が25問~35問含まれます。

なお、ノンスコアード問題とは、将来の試験問題を評価するために試験問題中に点在する、採点されない問題で、合否には関係ありません。スコアード問題で正解率70%以上なら合格となります。

問題数が多く、出題範囲が幅広いように思えますが、2022年度のNSCA-CPTの合格率は82.3%となっており、しっかりと勉強していれば合格できる可能性はあります。

 

 

NSCA-CPTと似ている資格との違い

NSCA-CPTと似ている資格に以下の2つがあります。

 

  • NSCA-CSCS
  • NESTA-PFT

 

それぞれとの違いについて、詳しく解説します。

 

NSCA-CPTとNSCA-CSCSの違い

NSCA-CSCSとは、Certified Strength and Conditioning Specialistの略称で、傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした安全なトレーニングプログラムを計画、実行する知識と技能を持っている人材と認める資格です。
NSCA-CPTと同様にNSCAの認定資格ですが、次のような違いがあります。

 

  NSCA-CPT NSCA-CSCS
資格の目的 健康と体力のニーズに関してトレーニングやコンディショニング全般の指導をおこなえる、優れた専門的能力を持つ人材を認定する 傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画し、実行できる知識と技能を持つ人材を認定する
おもな指導対象 一般人、アスリートなど アスリート、スポーツチーム
おもな指導内容 一般的な内容から専門的なトレーニング 筋力トレーニングやパフォーマンス向上のためのアドバイス、施設運営、栄養、生活習慣に関する指導など
更新方法 今期は全員共通で2026年12月31日までの更新
その後は3年周期
認定日に関わらず、3年ごとに一律

 

NSCA-CPT は一般の方やアスリートなどを対象にトレーニングの指導について専門的知識を持つことを認定する資格です。

一方で、NSCA-CSCSはアスリートやスポーツチームを対象にトレーニングの指導をおこない、施設運営や栄養、生活習慣などの指導知識があることを認定する資格になります。

つまり、NSCA-CPTはアスリートだけでなく一般の施設利用者なども指導対象としているため、普遍的なトレーニングの技術指導が求められますが、NSCA-CSCSはアスリートやスポーツチームに特化した指導が求められます。

両方ともNSCA認定資格ではありますが、求められる知識や技能が異なるため、取得を考えている方は違いを確認しましょう。

 

NSCA-CPTとNESTA-PFTの違い

NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)はフィットネス・ウェルネス業界において世界的に認められている団体です。

NESTA-PFTは、人材の育成プログラムとして開発された資格で、専門的な知識・技術だけでなく、トレーナーとして必要なコミュニケーション能力を身につけられます。

NSCA-CPTとNESTA-PFTの違いは以下のとおりです。

 

  NSCA-CPT NESTA-PFT
資格の目的 健康と体力のニーズに関してトレーニングやコンディショニング全般の指導をおこなえる、優れた専門的能力を持つ人材を認定する 運動に関する専門的な知識や実践スキルだけでなく、ビジネススキルや接客マナー、マーケティングも理解したプロフェッショナルの育成
おもな指導対象 一般人、アスリートなど 一般人、アスリートなど
おもな指導内容 一般的な内容から専門的なトレーニング 一般的なトレーニング指導全般、ビジネススキルやマーケティング
更新方法 今期は全員共通で2026年12月31日までの更新
その後は3年周期
取得から4年周期

 

NSCA-CPTとNESTA-PFTは、試験の出題方法や形式などに違いがありますが、知識レベルに大きな差はありません。 PFTとは「Personal Fitness Trainer」の略で、フィットネス業界での認知度が高い資格です。

身体やトレーニングに関する知識だけでなく、それを生かして仕事ができるビジネスコミュニケーションスキルも取得可能です。パーソナルトレーナーとして顧客の満足度を高めるためにも、しっかりとした知識を身につけたい方に向いています。

 

 

NSCA-CPTを取得するメリット

NSCA-CPTを取得するメリットは以下のとおりです。

 

  • パーソナルトレーナーとして活躍しやすくなる
  • パーソナルトレーナーに役立つ知識を学べる
  • CSCSに比べて取得難易度が低い

 

上記のメリットを順番に解説します。

 

パーソナルトレーナーとして活躍しやすくなる

パーソナルトレーナーは教師や医師のように就職するために必要な資格はありません。
しかし、NSCA-CPTを取得していれば、パーソナルトレーナーとして必要な知識があるとみなされ、スポーツジムへの就職やフリーランスとして働くときなどに役立つ可能性があります。

 

パーソナルトレーナーに役立つ知識を学べる

NSCA-CPTを取得すれば、一般の方だけでなくアスリートに対しても指導できる知識を身につけることができます。
また、NSCAジャパン会員になれば、年10回発行されるNSCAジャパン機関誌が届けられ、最新の研究や専門知識に触れるチャンスがあります。
つまり、NSCA-CPTの取得により、パーソナルトレーナーとして役立つ知識を学べる機会が増えるため、パーソナルトレーナーを目指している方は取得することをおすすめします。

 

CSCSに比べて取得難易度が低い

NSCAの発表によれば、2022年度のNSCA-CSCSの合格率が55.1%に対して、NSCA-CPTの合格率は82.3%です。

NSCA-CSCSはおもにアスリートのトレーニングに特化したカリキュラムで、受験資格のひとつに学位取得者か高度専門士の称号が求められます。

そのため、取得難易度はNSCA-CSCSのほうが難しいです。NSCA-CSCSに比べてNSCA-CPTのほうが資格取得までの期間が短く、費用もおさえられる傾向があるため、まずはNSCA-CPTの取得を目指しましょう。

 

 

NSCA-CPTの注意点

NSCA-CPTの注意点は以下のとおりです。

 

  • NSCA-CPTは更新が必要
  • 勉強方法によっては実技を学べない

 

上記の注意点を順番に解説します。

 

NSCA-CPTは更新が必要

NSCA-CPTの有効期間は3年間で、定期的に更新する必要があります。なお、有効期間は資格認定日から3年間ではなく、全資格認定者の共通の期間として設定されています。

たとえば、2024年1月1日~2026年12月31日が有効期間の場合、2026年12月31日までに資格更新手続きを完了しないと、翌3年間の認定資格が有効になりません。

また、2026年に資格を取得した方でも、取得したタイミングによっては2026年12月31日までに資格更新が必要です。資格を取得したタイミングによって、更新に必要な手続きが異なるため、必ず更新日を把握しておきましょう。

 

勉強方法によっては実技を学べない

NSCA-CPTはマークシート方式の試験のため、実技を実践する場面がありません。そのため、勉強方法によっては実技を身につけないまま資格を取得できてしまう可能性があります。

パーソナルトレーナーとしての実技も身につけたい方は、専門学校やトレーナー育成スクールに通うことがおすすめです。

 

 

NSCA-CPT資格取得がおすすめの方

以下のような方は、NSCA-CPTの資格取得がおすすめです。

 

  • アスリート指導を目指す方
  • 幅広い層に対してトレーニング指導をしたい方
  • パーソナルトレーナーやインストラクターになりたい方
  • 業界未経験の方

 

NSCA-CPTはアスリートへの本格的な指導のほか、一般の方にも指導できる知識を持っていると証明できるため、インストラクターとして活動したい方にも向いています。

 

 

NSCA CPT取得後の働き方

NSCA CPTを取得したあと、以下のような活躍の場が考えられます。

 

  • パーソナルジムにトレーナーとして就職する
  • フリーランスでトレーナーとして就職する
  • 独立する

 

パーソナルジムにトレーナーとして就職する

資格を取得後、すぐに独立するのは難しいものです。まずはパーソナルジムやフィットネスクラブに就職して、指導経験を積むことがおすすめです。

なかには未経験可能な求人もあり、指導経験が少なくても就職できる可能性があります。ご自身で集客する必要もないため、指導に集中でき、トレーナーとしての技術を短期間で身につけることも可能です。

 

フリーランスでトレーナーとして就職する

ジムやスクールで雇用されるほか、フリーランスでトレーナーになる方法もあります。業務委託契約をして個人事業主として働く方法で、複数のジムと契約することも可能なため、ご自身の可能性を広げられます。

フリーランスのパーソナルトレーナーになると、たくさんの方への指導ができるため、経験を積んで将来的に独立したいと考えている方にもおすすめです。知識やスキルを証明できるNSCA-CPTを取得していると、契約につながりやすい場合があります。

 

 

独立する

トレーナーやインストラクターとして独立するためには、経験と実力が不可欠です。そのため、ある程度ジムやクラブで勤務経験を積んでから独立することが一般的です。

フリーランスや従業員として働き、ある程度お客さまがつくようになったら独立を考える方もいます。独立には資金やご自身のスタジオが必要なので、資金繰りや場所探しをしなければなりません。

独立すると、ご自身の思うままにジムを経営できる一方で、ご自身でやらなければならない作業が増えます。しかし、軌道に乗れば、収入アップも目指せるでしょう。

 

 

NSCA-CPTを取得するための勉強方法

NSCA-CPTを取得するための勉強方法は以下のとおりです。

 

  • 独学で勉強する
  • 専門学校・体育学校で学ぶ
  • トレーナー育成スクールに通う

 

上記を順番に解説します。

 

独学で勉強する

NSCA-CPTはマークシート形式のテストのため、公式テキストと過去問などを用いて独学で受験できます。公式サイトでの販売価格は以下のとおりです。

 

  一般価格 NSCAジャパン会員価格
公式テキスト 13,200円 11,880円
有効なCPR/AEDの講習会の受講費用 過去問 11,000円 9,900円

 

ほかの勉強方法に比べて授業料などの費用をおさえられますが、「モチベーションが維持しにくい」「実技を学ぶ機会がない」「わからない部分を質問できない」などのデメリットはあります。

なお、資格認定の条件として、「有効なCPR/AED認定証」の取得があるため、忘れずに講座を申込んでおきましょう。

 

専門学校・体育学校で学ぶ

専門学校や体育学校でNSCA-CPTの取得を目指すことも可能です。

学校のカリキュラムによってはNSCA-CPT以外の資格取得も目指せますが、入学金や授業料などがトレーナー育成スクールよりも高額になることがあります。また、卒業するまでにある程度の時間が必要などのデメリットがあります。

 

トレーナー育成スクールに通う

NSCA-CPTの取得を専門としたコースを開催しているトレーナー育成スクールで授業を受ける方法もあります。

トレーナー育成スクールによって学び方は異なり、オンライン講座のみの場合もあれば、パーソナルトレーナーとしての実技を学びながら受けられる場合もあるため、ご自身に合ったカリキュラムを選択しましょう。

なお、トレーナー育成スクールごとにかかる費用や期間が異なるため、事前に確認することが重要です。

 

 

まとめ

NSCA-CPTは一般の方だけでなく、アスリートにも指導できる知識を持っていると証明できる資格です。パーソナルトレーナーを目指す方だけでなく、フィットネスインストラクターやスポーツ指導者、理学療法士などの方も取得を目指しています。

将来、パーソナルトレーナーなどのスポーツやフィットネスに関わりたいと考えている方におすすめの資格です。

 

 

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