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2024.10.03コラム

PFCバランスとは?三大栄養素の働きや理想的な摂取量の計算方法などを徹底解説!

趣味やダイエット目的で筋トレをしている方や、トレーナーとしての指導スキルを磨きたい方は、トレーニング方法に加えて栄養に関する知識も習得することがおすすめです。

エネルギーを摂取する際には「PFCバランス」を考慮する必要がありますが、「具体的にどのようなものか分からない」といった悩みをお持ちの方もいるでしょう。

そこでこの記事では、PFCバランスについて詳しく解説します。三大栄養素の働きや、理想的な栄養素の摂取量を計算する方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

 

PFCバランスとは

PFCバランスとは、三大栄養素であるProtein(タンパク質)・Fat(脂質)・Carbohydrate(炭水化物)からのエネルギー摂取比率です。

なお、厚生労働省が公開している「日本人の食事摂取基準(2020年版)※1」では、「エネルギー産生栄養素バランス」と呼称されています。

※1出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

 

理想的なPFCバランス

下表に、理想的なPFCバランス(P・F・Cから摂取するエネルギーの理想的な割合)を年齢別にまとめました※2。

 

年齢 タンパク質からのエネルギー摂取比率 脂質からのエネルギー摂取比率 炭水化物からのエネルギー摂取比率
1~49歳 13~20% 20~30% 50~65%
50~64歳 14~20%
65歳以上 15~20%

 

※2出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」より抜粋して記載

原則として性別による違いはありませんが、娠後期および授乳中の女性に関しては、タンパク質から15~20%のエネルギーを摂取することが理想とされており、脂質・炭水化物からの摂取割合は上表の数値と同じです。

 

エネルギー換算係数

上述した理想的なエネルギー摂取割合は、以下に示す「Atwater(アトウォーター)係数」(1gあたりのエネルギー産生量を計算するための換算係数)を用いて算出された数値です。

 

  • タンパク質のエネルギー換算係数:4kcal/g
  • 脂質のエネルギー換算係数:9kcal/g
  • 炭水化物のエネルギー換算係数:4kcal/g

 

タンパク質も脂質も炭水化物も数多くの種類が存在し、物質ごとに1gあたりのエネルギー産生量が異なります。理想的な割合は、エネルギー産生量の違いが考慮されておらず、あくまでも目安であることは覚えておきましょう。

 

 

P(Protein・タンパク質)の役割

タンパク質とは、多数のアミノ酸がペプチド結合した高分子化合物で、筋肉・皮膚・毛髪・臓器・ホルモン・抗体・酵素などの原材料として使われています。身体の機能を維持するためには、タンパク質の摂取が不可欠です。

タンパク分子を構成するアミノ酸は、20種類存在します。体内で合成できない9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれており、食事で充分な量を摂取しなければいけません。

 

タンパク質が多く含まれる食品

文部科学省の「食品成分データベース※3」を参考に、タンパク質が多く含まれる食品の例を紹介します。

 

  • 牛乳
  • 乳製品
  • 魚介類
  • 豆類

 

上記のような食品の他、プロテインドリンクやプロテインバーなども、タンパク質の効率的な摂取に有用です。ただし、タンパク質を摂取し過ぎると腎臓に負担がかかるため、食品からの摂取を基本として、過剰摂取は控えましょう。

※3出典:文部科学省「食品成分データベース」

 

 

F(Fat・脂質)の役割

脂質とは、水に溶けず、有機溶媒に溶ける化合物です。

栄養学的に重要な脂質としては、脂肪酸・中性脂肪・リン脂質・糖脂質・ステロール類の5種類があげられます。また、摂取する脂質および体内で蓄えられる脂質のほとんどは、グリセリンと3つの脂肪酸が結合した化合物「トリアシルグリセロール」の形態です。

脂質は重要なエネルギー源として用いられるほか、皮下脂肪の原材料としても使われ、寒さや外部からの物理的な刺激から身体を守る役割を果たします。

ただし、脂質を過剰に摂取すると、内臓脂肪の量が増大して肥満を招き、生活習慣病のリスクが高まるためご注意ください。

 

脂質が多く含まれる食品

以下は、脂質が多く含まれる食品の例です※4。

 

  • 植物油(ひまわり油、大豆油、ごま油など)
  • ラード
  • バター
  • マヨネーズ
  • 鶏皮
  • バラ肉(豚・牛)
  • マグロ(脂身)
  • サンマ
  • イワシ

 

和食中心の食生活では、諸外国に比べて脂質の摂取量が少ない傾向が見受けられました。しかし、近年は食生活の欧米化に伴って、日本人の脂質摂取量が増加しています。

※4出典:文部科学省「食品成分データベース」

 

 

C(Carbohydrate・炭水化物)の役割

炭水化物とは、単糖および単糖を最小構成単位とする重合体の総称で、以下の2種類に大別されます。

 

  • 糖質
  • 食物繊維

 

糖質は、ヒトの消化酵素で容易に消化され、主要なエネルギー源として機能します。通常はグルコース(ぶどう糖)しかエネルギー源として利用できない組織(脳・神経・赤血球・腎尿細管など)の機能を維持するためには、糖質の摂取が欠かせません。

食物繊維は消化が困難で、整腸作用や、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあります。

 

炭水化物が多く含まれる食品

以下は、エネルギー源として機能する糖質が多く含まれる食品の例です※5。

 

  • ごはん
  • パン
  • 麺類
  • イモ類
  • 果物
  • 菓子類

 

糖質を過度に摂取すると、脂肪に変換されて蓄積されます。逆に糖質が不足すると、筋肉が分解されてエネルギー源として消費される結果、筋肉量が減るため注意しましょう。

※5出典:文部科学省「食品成分データベース」

 

PFCバランスを考慮した三大栄養素の摂取量を計算する方法

以下で、理想的なPFCバランスを実現するために、三大栄養素(P・F・C)からどのくらいエネルギー(カロリー)を摂取するべきなのかを計算する方法を説明します。

各栄養素をなんグラム摂取すれば良いのかも具体的に解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

1日あたりのエネルギー必要量を求める

「日本人の食事摂取基準※6」に基づいて、1日の推定エネルギー必要量(体重1kgあたり)を下表にまとめました(男女別・年齢別・身体活動レベル別)。

 

性別 男性 女性
身体活動レベル Ⅰ(低い) Ⅱ(普通) Ⅲ(高い) Ⅰ(低い) Ⅱ(普通) Ⅲ(高い)
18~29歳 35.5kcal 41.5kcal 47.4kcal 33.2kcal 38.7kcal 44.2kcal
30~49歳 33.7kcal 39.3kcal 44.9kcal 32.9kcal 38.4kcal 43.9kcal
50~64歳 32.7kcal 38.2kcal 43.6kcal 31.1kcal 36.2kcal 41.4kcal
65~74歳 31.3kcal 36.7kcal 42.1kcal 30.0kcal 35.2kcal 40.4kcal
75歳以上 30.1kcal 35.5kcal 29.0kcal 34.2kcal

 

※6出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

表の数値にご自身の体重をかければ、1日にどのくらいのエネルギー(カロリー)を摂取するべきなのかを計算可能です。

身体活動レベルⅠは「1日中ほとんど座っている方」、レベルⅡは「座り仕事が中心で、散歩などの軽い運動を実施する方」が該当します。日常的に立ち仕事や激しいスポーツ・筋トレなどを実施している方は、身体活動レベルⅢの数値を使用しましょう。

たとえば、「35歳男性、身体活動レベルⅢ(高い)、体重70kg」というケースでは、「44.9kcal/kg×70kg=3,143kcal」と算出されます。

 

P(タンパク質)からのエネルギー摂取量を計算する

理想的なPFCバランス(エネルギー摂取比率)に基づいて、1日に必要なエネルギーのうち、タンパク質から摂取するべきエネルギー量(カロリー)を計算しましょう。

具体例として、前述した「35歳男性、身体活動レベルⅢ(高い)、体重70kg」のケースを例に挙げて計算方法を解説します。

このケースでは、1日に摂取するべきエネルギーの量は、前述のとおり3,143kcalです。また、タンパク質からの理想的なエネルギー摂取比率は「13~20%」とされています。そのため、タンパク質から409~629kcal程度のエネルギーを摂取することが理想です。

Atwater係数を用いると、摂取するべきタンパク質の重量は102~157g程度と算出されます。ただし、Atwater係数は、物質ごとのエネルギー産生量の違いを反映していない換算係数なので、大まかな目安としてお考えください。

 

F(脂質)からのエネルギー摂取量を計算する

次に、1日に必要なエネルギーのうち、脂質から摂取するべきエネルギー量(カロリー)を計算しましょう。

具体例として、こちらでも「35歳男性、身体活動レベルⅢ(高い)、体重70kg」、1日に摂取するべきエネルギーの量は3,143kcalというケースの計算過程を解説します。

脂質からの理想的なエネルギー摂取比率は「20~30%」です。そのため、脂質から629~943kcal程度のエネルギーを摂取することが理想です。また、Atwater係数を用いると、摂取するべき脂質の重量は70~105g程度と算出されます。

 

C(炭水化物)からのエネルギー摂取量を計算する

最後に、1日に必要なエネルギーのうち、炭水化物から摂取するべきエネルギー量(カロリー)を計算しましょう。

具体例として、前項までと同じく「35歳男性、身体活動レベルⅢ(高い)、体重70kg」、1日に摂取するべきエネルギーの量は3,143kcalというケースの計算過程を解説します。

炭水化物からの理想的なエネルギー摂取比率は「50~65%」とされているため、炭水化物から1,572~2,043kcal程度のエネルギーを摂取することが理想です。また、Atwater係数を用いると、摂取するべき炭水化物の重量は393~511g程度と算出されます。

 

 

理想的なPFCバランスを実現するためのポイント

以下は、理想的なPFCバランスを実現するためのポイントです。

 

  • 「主食:副菜:主菜=3:2:1」の比率を目指す
  • 複数の炭水化物(主食)のみ摂取するのは避ける
  • コンビニなどで食べ物を購入する際や外食時にもPFCバランスを考慮する

 

それぞれに関して詳しく説明します。

 

「主食:副菜:主菜=3:2:1」の比率を目指す

三大栄養素の理想的な摂取量を把握して、それをもとに食事を摂取することは大切です。しかし、毎回細かく計算して食事を用意していると時間・労力がかかるため、長続きしにくいかもしれません。

手間をかけずに理想的なPFCバランスを実現したい方には、「主食:副菜:主菜=3:2:1」の比率を目指す方法をおすすめします。

以下は、主食・副菜・主菜の具体例です。

 

  • 主食:ごはん、パン、麺類
  • 副菜:野菜、きのこ、海藻
  • 主菜:肉、魚、卵、大豆製品(納豆など)

 

この方法なら、時間・労力をあまりかけずに理想的なPFCバランスに近づけることが可能なので、長続きしやすいでしょう。

 

複数の炭水化物(主食)のみ摂取するのは避ける

米やパン、麺類などの主食は炭水化物が主成分です。そのため「おにぎりとラーメン」「パンと焼きそば」など、主食の「重ね食べ」をすることで炭水化物の摂りすぎにつながり、PFCバランスが崩れてしまう可能性があります。

なお、炭水化物を過剰に摂取すると、肥満や糖尿病のリスクが増大するので注意が必要です。

 

コンビニなどで食べ物を購入する際や外食時にもPFCバランスを考慮する

外食したりコンビニエンスストアやスーパーなどで食べ物を購入したりする場合も、PFCバランスを考慮しましょう。

外食では、丼物などの単品料理よりも、主食・主菜・副菜がそろった定食を選択するとPFCバランスが整いやすいです。

コンビニエンスストアやスーパーなどで食べ物を購入する際は、おにぎりだけではなく、たとえばサラダや焼き魚などの惣菜も組み合わせると良いでしょう。

 

 

スクールに通ってPFCバランスに関して学ぶこともひとつの手段

健康的な生活を目指している方、ダイエットをしたい方、身体作りに励んでいる方など、幅広い方にとって、PFCバランスに関して理解を深めることは大切です。

PFCバランスの詳細を独学で学ぶことも可能ですが、自力で学習することに不安を感じる場合は、トレーナー養成スクールに通うこともご検討ください。スクールによっては、実践的なトレーニングの方法だけではなく、栄養学に関する講義も受けられます。

自学自習では、疑問点があっても長期間解消できない場合もあるでしょう。その点、スクールに通えば、すぐに質問して疑問点を解消することが可能です。

 

 

まとめ

筋トレ・ダイエットをする場合や、トレーナーとして他者を指導する場合には、PFCバランスに関する知識が不可欠です。栄養や健康を考慮せずに、トレーニングだけ実施しても充分な効果は得られません。

この記事を参考にして、ご自身やクライアントの体重・年齢などを踏まえた三大栄養素の摂取量を計算しましょう。

 

 

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