レジスタンストレーニングとは、筋肉を鍛えることができるトレーニングです。継続することで筋力の向上のみならず、健康維持にも役立つといったメリットがあります。
しかし、レジスタンストレーニングは正しい知識のもとでメニューや強度を決めないと怪我をするリスクがあるため注意が必要です。
この記事ではレジスタンストレーニングについて解説します。レジスタンストレーニングの種類や効果、有酸素運動との違い、メニューや強度の決め方などを知りたい方はぜひ参考にしてください。
レジスタンストレーニング(レジスタンス運動)とは
レジスタンストレーニングとは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返しおこなうトレーニングであり、いわゆる「筋力トレーニング(筋トレ)」です。
トレーニングをおこなう方の目的や身体の状態によって、負荷を調整しながら取り組むことができます。ダンベルやバーベルなどの器具を用いたり、ご自身の体重を利用したりする方法があり、次のような特徴があります。
方法 |
特徴 |
器具を用いる |
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自身の体重を利用する |
- 器具が不要で、手軽におこなえる
- 負荷の調整がしにくい
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やり方によって筋肉にかかる抵抗は異なるため、トレーニングをおこなう前に知っておくと良いでしょう。
レジスタンストレーニング(レジスタンス運動)の原理・原則
下表に、レジスタンストレーニングに関する原理・原則をまとめました。
3つの原理 |
- 過負荷の原理:効果を得るためには、一定レベル以上の負荷をかけなければならない
- 可逆性の原理:トレーニングを中断すると、徐々に運動前の状態に戻る
- 特異性の原理:レジスタンス運動で使用した筋肉に特異的な効果が生じる
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5つの原則 |
- 全面性の原則:体力要素を全面的に高めるようにトレーニングを実施する
- 意識性の原則:トレーニングの内容・目的を意識して取り組む
- 漸進性の原則:負荷を段階的に高める
- 反復性の原則:継続反復することで効果が発揮される
- 個別性の原則:個々人の体力・筋力に適したトレーニングを実施する
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ご自身がトレーニングを実施する場合も、トレーナーとして指導する場合も、上記の原理・原則を意識して取り組みましょう。
レジスタンストレーニングの種類
次の表は、レジスタンストレーニングの種類と概要をまとめたものです。
種類 |
概要 |
自重トレーニング |
- ご自身の体重を負荷として用いるトレーニング
- 特別な器具が不要で、手軽におこなえる
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マシントレーニング |
- フィットネスクラブにある専用マシンを用いるトレーニング
- ウエイトの軌道が決まっているため、正しいフォームの習得がしやすい
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フリーウェイトトレーニング |
- ダンベルやバーベルなどの重量物を用いるトレーニング
- マシントレーニングと違って、軌道が決まっていない
- 正しいフォームを身に着けないと怪我をするリスクがある
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チューブトレーニング |
- チューブの力を負荷とするトレーニング
- インナーマッスルを鍛えるのに役立つ
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レジスタンストレーニングの種類によって必要になる器具や正しいフォームなどが異なります。また、身体への負荷も違うため、運動レベルが低い方や高齢者は、まずは自重トレーニングから始めると良いでしょう。
また、正しいフォームで運動することが怪我の予防になるため、自重トレーニングを正しいフォームでおこなえるようになることも重要です。
レジスタンストレーニングの効果
レジスタンストレーニングの効果は以下のとおりです。
- 筋力や筋持久力を向上させる
- 心臓に良い影響を与える
- 健康維持に役立つ
上記の効果を順番に解説します。
筋力や筋持久力を向上させる
レジスタンストレーニングは筋肉に負荷をかける動きを繰り返すトレーニングのため、継続することで筋力や筋持久力の向上が期待できます。
筋力や筋持久力が向上すれば、階段の昇り降りや買い物袋を持ち運ぶなどの日常生活で、怪我をするリスクもおさえられます。
心臓に良い影響を与える
筋肉には、周囲の血管を圧迫して血液を心臓に送り返すポンプのような働きがあります。とくに、心臓より下にある足の筋肉は「第二の心臓」と呼ばれるほど重要で、鍛えると立ちくらみやふらつきを予防できる場合があります。
健康維持に役立つ
レジスタンストレーニングを継続することで筋肉量が増え、基礎代謝が向上し、糖や脂質を燃やしやすい健康的な身体を目指せます。
また、加齢と共に筋力は低下し、さまざまな病気にかかったり、怪我をしたりするリスクが高まります。
レジスタンストレーニングを継続することで筋肉量の維持が期待できるため、長く健康的な生活を続けるためにも、レジスタンストレーニングは重要なトレーニングです。
レジスタンストレーニングと有酸素運動の違い
下表に、レジスタンストレーニング(レジスタンス運動)と有酸素運動の特徴(おもな違い)をまとめました。
種類 |
概要 |
レジスタンストレーニング |
- 筋グリコーゲン(筋肉に蓄えられる糖の一種)をエネルギー源として用いる(酸素を消費せずにエネルギーに変える)
- 筋量や骨密度の増加、基礎代謝向上、血糖コントロール改善を期待できる
- 脂肪をエネルギー源として使用できず、乳酸の濃度が高まることから、長時間継続できない
- 血圧が上昇しやすい
|
有酸素運動 |
- 糖や遊離脂肪酸を消費する(酸素によってエネルギーに変える)
- 初期には糖が消費され、徐々に脂肪が消費される
- インスリン感受性・脂質代謝・血圧・肥満・心肺機能の改善を期待できる
- 筋肉への負荷が小さく、長時間継続できるが、筋力増強の効果は見込みにくい
|
レジスタンストレーニングと有酸素運動のいずれか片方だけを実施するのではなく、両方とも実施することが大切です。
レジスタンストレーニングが向いている方
レジスタンストレーニングには、フィットネスクラブのマシンやダンベル、バーベルなどの器具を使うだけでなく、ご自身の体重を利用するトレーニングもあります。自重を利用したレジスタンストレーニングであれば、ジムに通う必要はなく自宅で取り組めます。
そのため、自宅で運動したい方やご自身の好きなタイミングで運動したい方、ジムの費用を節約したい方などにおすすめのトレーニングです。
レジスタンストレーニングのメニューや強度の決め方
レジスタンストレーニングのメニューや強度の決め方は以下のとおりです。
- レジスタンストレーニングの強度はRM(最大反復回数)を基準にする
- レジスタンストレーニングの種目は目的に合わせる
上記を順番に解説します。
レジスタンストレーニングの強度はRM(最大反復回数)を基準にする
RMとはRepetition Maximumの略称で、日本語にすると「最大反復回数」となります。
ある負荷を最大何回まで持ち上げられるかという数値で、1RMは1回だけ反復できる最大の重量のことです。
次の表は1RMの割合と反復できる回数をまとめたものです。
レジスタンストレーニングと有酸素運動のいずれか片方だけを実施するのではなく、両方とも実施することが大切です。
レジスタンストレーニングが向いている方
レジスタンストレーニングには、フィットネスクラブのマシンやダンベル、バーベルなどの器具を使うだけでなく、ご自身の体重を利用するトレーニングもあります。自重を利用したレジスタンストレーニングであれば、ジムに通う必要はなく自宅で取り組めます。
そのため、自宅で運動したい方やご自身の好きなタイミングで運動したい方、ジムの費用を節約したい方などにおすすめのトレーニングです。
レジスタンストレーニングのメニューや強度の決め方
レジスタンストレーニングのメニューや強度の決め方は以下のとおりです。
- レジスタンストレーニングの強度はRM(最大反復回数)を基準にする
- レジスタンストレーニングの種目は目的に合わせる
上記を順番に解説します。
レジスタンストレーニングの強度はRM(最大反復回数)を基準にする
RMとはRepetition Maximumの略称で、日本語にすると「最大反復回数」となります。
ある負荷を最大何回まで持ち上げられるかという数値で、1RMは1回だけ反復できる最大の重量のことです。
次の表は1RMの割合と反復できる回数をまとめたものです。
1RMの割合 |
反復回数 |
100% |
1回 |
95% |
2回 |
93% |
3回 |
90% |
4回 |
87% |
5回 |
85% |
6回 |
83% |
7回 |
80% |
8回 |
77% |
9回 |
75% |
10~12回 |
70% |
11~15回 |
ベンチプレスを例にすると、1回持ち上げられる最大の重量が1RMです。
つまり、1RMを把握できれば「どのくらいの重量で何回反復できるか」の目安が推定できます。
RMはレジスタンストレーニングの成長の記録として管理できるだけでなく、負荷を設定する際にも役立ちます。
たとえば、ベンチプレス80kgを4回持ち上げることが限界の場合、上記の表から1RMは約88kg(80kg÷90%=88kg)と推定できます。筋肥大を目的とする場合は、8回程度の反復回数が適しているとされているため、1RMの80%負荷である約70kg(88kg×80%=70.4kg)の負荷をかけて、1セット8回でおこなうと良いでしょう。
なお、1RMの測定はトレーニングする方の最大重量を扱うことになるため、危険が伴います。1RMの測定や、1RMに基づいたトレーニングの強度を決めたい方は、パーソナルトレーナーなどの専門家に相談してみましょう。
レジスタンストレーニングの種目は目的に合わせる
レジスタンストレーニングによって筋肉に負荷がかかる部位は異なります。そのため、レジスタンストレーニングの種目を鍛えたい部位ごとに決めるなど、トレーニングする方の目的に応じて決めましょう。
レジスタンストレーニングの代表的な種目は以下のとおりです。
- スクワット
- ベンチプレス
- デッドリフト
- プッシュアップ
- ショルダープレス
- ラットプルダウン
- レッグプレス
- チェストプレス
他にもさまざまなトレーニング方法があるため、ご自身に合った方法を取り入れてください。
レジスタンストレーニングをおこなう際の注意点
レジスタンストレーニングをおこなう際の注意点は以下のとおりです。
- ご自身の状態や目的に合ったメニューを組む
- レジスタンストレーニング後には回復期間を設ける
- 体調が優れないときは休む
上記を順番に解説します。
ご自身の状態や目的に合ったメニューを組む
レジスタンストレーニングは心肺機能にもある程度の負荷をかけるトレーニングです。普段運動しない方が急に運動すると心血管系事故のリスクが高まるため、ご自身の運動状況やレベルに合ったメニューを組んで、徐々に強度を上げましょう。
先述しましたが、メニューや強度を決めるときはご自身の目的に合ったメニューを組む必要があります。
とくに、健康維持などが目的の高齢者がレジスタンストレーニングに取り組む場合、怪我などを防ぐため、適切な運動強度を把握した上でメニューを決めることが重要です。
また、適切な準備運動もおこないましょう。負荷量を10RMの2/3程度におさえた動作を繰り返すようなウォーミングアップをおこなうことで、心臓への負担が軽減され、怪我の予防につながります。
メニューを組む場合は、レジスタンストレーニングについての資格を取得しているパーソナルトレーナーに依頼するか、ご自身で資格を取得していることが望ましいです。
レジスタンストレーニング後には回復期間を設ける
レジスタンストレーニングは筋肉に負荷をかけるため、回復の時間が必要です。
毎日おこなうのではなく、週2日~3日ぐらいのペースで無理のない範囲で、継続的におこないましょう。
体調が優れないときは休む
レジスタンストレーニングを始める前に、ご自身の体調をチェックして、次のような症状がないか確認しましょう。
- 身体の痛みがある
- 睡眠不足
- 吐き気がする
- 頭痛やめまいがする
- 耳鳴りがする
- 過労気味で身体が重い
- 食欲がない など
上記の症状がある場合は無理をせず、安静にしてください。
筋肉痛がのこっている部位のトレーニングは控え、他の部位を鍛えましょう。また、症状が強くなったり、他の症状も見られたりした場合は、医療機関の受診をおすすめします。
まとめ
レジスタンストレーニングは筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返しおこなうトレーニングです。
レジスタンストレーニングを実施すると、筋量や骨密度の増加、基礎代謝向上、血糖コントロール改善を期待できます。ご自身がトレーニングを実施する場合も、トレーナーとして指導する場合も、この記事でご紹介した3つの原理や5つの原則を意識して取り組みましょう。
なお、筋肉を鍛える目的によって、強度やメニューの決め方が異なるため、専門的な知識が必要になります。
専門的な知識を学ぶ際は、資格取得を目指すことがおすすめです。ご自身に専門的な知識やスキルがあることを証明できます。
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