スポーツコーチングは学生やクライアントに指導する際に役立つスキルです。従来の指導に比べて、選手やクライアントのやる気、能力がアップする可能性があります。
コミュニケーション能力の向上はこれからの指導者やトレーナーに求められるため、指導者やトレーナーとして働きたい方は、スポーツコーチングに関する資格の取得を検討してみましょう。
この記事では、スポーツコーチングについて解説します。スポーツコーチングやトレーナーに関する資格を知りたい方は、参考にしてください。
スポーツコーチングとは?
もともとのコーチングとは、思考を刺激してクライアントや指導を受けている方が持っている能力や可能性を最大化させる行為です。
スポーツコーチングの場合は、スポーツの現場において選手を支援する行為を指しており、スポーツを通じて社会に役立つ人材を育てるための技術ともいえます。
スポーツコーチングのメリット
スポーツコーチングのメリットは以下のとおりです。
- 選手やクライアントのやる気、能力がアップする
- 選手やクライアントとの関係性が良くなる
- 就職に役立つ可能性がある
上記を順番に解説します。
選手やクライアントのやる気や能力がアップする
スポーツコーチングは、みずから考えて行動し、問題に向かって成長していけるような選手を育てる技術です。
身につけて実践できれば、選手やクライアントに次のような変化が起きる可能性があります。
- ご自身の能力や個性を活かせるようになる
- ご自身に合ったスタイルを身につけられる
- メンタルを鍛えられる
一般的な指導方法でも成果を出すことはできますが、スポーツコーチングはより効率的に成果を出して、選手やクライアントのやる気、能力のアップにつながる技術です。
選手やクライアントとの関係性が良くなる
選手やクライアントのやる気を引き出し、能力アップを達成できれば、信頼関係が結べるようになります。
パーソナルトレーナーやコーチなどは、クライアントのモチベーションを維持し、最大限のパフォーマンスを発揮してもらい、成果を上げることで評価される仕事です。
つまり、スポーツコーチングを学ぶことで、クライアントのモチベーションが低下して仕事の評価が下がってしまうといったことを防げる可能性があります。
就職に役立つ可能性がある
スポーツやトレーニングの現場においてコミュニケーション能力の重要性は増しており、研修内容として取り上げられ、資格試験の出題範囲に含まれています。
指導者やトレーナーとしての就職時に、スポーツコーチングを学んでいたことを証明できれば評価され、希望しているチームや職場で働ける可能性がアップするかもしれません。
パーソナルトレーナーやコーチなどの指導員、指導者として働きたいと考えている方は、スポーツコーチングを学ぶことを検討すると良いでしょう。
スポーツコーチングの注意すべきポイント
スポーツコーチングの注意すべきポイントは以下のとおりです。
- すぐには効果が出ない
- 選手やクライアントにあわせて指導内容を変更する
- 専門的な知識や技術が必要
上記を順番に解説します。
すぐには効果が出ない
スポーツコーチングは、選手やクライアントに考える力を身につけてもらい、自発性や主体性を養うことが目的です。
選手やクライアントによって自発性や主体性を身につけるまでの時間は異なります。短時間で効果が出る方もいれば、身につけるまでに時間がかかる方も珍しくありません。
そのため、パーソナルトレーナーやコーチなどの指導者がスポーツコーチングを学んで実践したとしても、指導を受ける側の理解力によってはすぐに効果が出るとは限らないと覚えておきましょう。
選手やクライアントにあわせて指導内容を変更する
選手やクライアントによって個性や目的などは異なるため、同じスポーツコーチングが通じるとは限りません。
指導する相手にあわせて指導内容を変更する必要があります。
スポーツコーチングは相手を理解して指導していくため、時間と手間がかかり、多くの人数を一度に指導するときには向いていないと覚えておきましょう。
専門的な知識や技術が必要
スポーツコーチングを実践するためには、メソッドやポイントを知っておかなければ難しいです。
たとえば、スポーツコーチングでは「やる気はあるのか?」と相手に聞くのではなく、「なにをやりたかったの?」「どこを意識していた?」といったように言語化を求めます。
通常の指導と異なる方法になるため、スポーツコーチングを実践するためには専門的な知識や技術の習得が重要です。
スポーツコーチングの専門的な知識や技術を身につけるためには、資格の取得も検討してみましょう。
スポーツコーチングがおすすめの方
スポーツコーチングを学んだほうが良い方は以下のとおりです。
-
- 学生を対象に指導する方
- スポーツチームの関係者
- トレーナー
上記を順番に解説します。
学生を対象に指導する方
スポーツの現場は常に変化しており、従来の指導方法やチームビルディングでは時代に合っていないとされています。
とくに学生を対象に指導する現場では、次のようなシーンでコミュニケーション能力が求められています。
- 選手の自主性を高める
- チームの信頼感や一体感を築く
- 選手に信頼される指導者になる
- 試合前の緊張感をエネルギーに変えるための声かけ
- スポーツを通じて優秀な人材を育てる
学生を対象に指導しており、選手に適切なコミュニケーションを取りたいと考えている方はスポーツコーチングを学んでみましょう。
スポーツチームの関係者
プロスポーツチームやアマチュアチームの関係者もスポーツコーチングを学ぶことで、選手のやる気や能力を引き出すことが可能になります。
また、スポーツコーチングで学んだ技術や考え方が、選手を指導する以外の場面でも役立ち、チーム全体の調子を良くする可能性もあるため、チームの関係者は習得を検討してみましょう。
トレーナー
パーソナルトレーナーやジムトレーナーも、クライアントのモチベーション維持や効率アップのためにコミュニケーション能力を伸ばすほうが望ましいです。
厳しいだけのトレーナーよりも、スポーツコーチングを身につけてクライアントのモチベーションをアップできるトレーナーのほうが仕事を得やすくなります。
また、スポーツコーチングに関する資格を保有していれば、就職やクライアントの獲得につながる可能性もあるため、トレーナーとして働いている方や、目指している方は資格取得を検討してみましょう。
スポーツコーチングに関する資格
スポーツコーチングに関する資格を順番に解説します。
スポーツコーチングリーダー
スポーツコーチングリーダーとは、日本スポーツ協会が公認している、スポーツ指導者基礎資格のひとつです※1。
取得要件 |
日本スポーツ協会が実施する「オンライン講座」と各団体が実施する「集合講習」のいずれかを受講する |
取得難易度 |
不明 |
費用 |
オンライン講座の受講費用:18,040円(税込) |
地域スポーツクラブやスポーツ少年団、学校の運動部活動などで、安全かつ安心で基礎的なスポーツ指導をおこなえることを証明する資格です。
資格取得の方法は2種類あり、日本スポーツ協会が実施する「オンライン講座」と各団体が実施する「集合講習」のいずれかを受講します。
講座の種類に関わらず、カリキュラムの内容や時間に大きな違いはありません。共通科目45時間分を受講したあとに、テストやレポートを提出すれば資格を取得できます。
2024年にコーチングアシスタントからスポーツコーチングリーダーに名称が変更された資格で、学校やスポーツクラブで学生を相手にスポーツ指導をしたいと考えている方は取得を検討しましょう。
※1出典: JSPO「公認スポーツ指導者概要 – スポーツ指導者」
スポーツコミュニケーションアドバイザー&コーチ
スポーツコミュニケーションアドバイザー&コーチは一般社団法人日本スポーツコーチング協会が主催している講座を受講した方に与えられる資格です※2。
取得要件 |
一般社団法人日本スポーツコーチング協会が主催している講座を受講する |
取得難易度 |
不明 |
費用 |
680,000円(税込) |
6ヵ月間、全12回のオンラインセミナーを受講すれば取得できる資格で、セミナーではスポーツコミュニケーションや資格取得者が果たすべき役割などを学べます。
資格を取得すると、協会のウェブサイトにプロフィールが掲載され、スポーツコーチング基礎講座を自主的に開催できるようになるため、スポーツコーチングの分野で活躍することも可能です。
スポーツに特化したコミュニケーションの知識や指導方法、スポーツコーチングのスキル、ツールなどを手に入れたいと考えている方は取得をおすすめします。
※2出典:一般社団法人日本スポーツコーチング協会「スポーツコミュニケーションアドバイザー&コーチ養成講座第7期生募集」
トレーナーにおすすめの資格
スポーツコーチング以外に、トレーナーとして働くのにおすすめの資格を順番に紹介します。
NSCA-CPT
NSCA-CPTとは、全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)が発行しているパーソナルトレーナー向けの資格です※3。
取得要件 |
高校を卒業している、あるいは高卒認定試験に合格している
18歳以上
NSCAジャパンの正会員か学生会員
有効なCPR/AEDの認定者※4 |
難易度 |
82.3%(2022年度) |
取得までの費用 |
独学なら約8万円~約9万円 |
NSCA-CPTでは、動機づけやコンディショニング全般の指導をおこなうための知識やスキルを身につけることが可能です。
また、年齢や性別、経験を問わず、幅広い層に対して指導するための知識やスキルを磨けるため、子どもや学生を相手に指導する場合にも役立ちます。
就職の役にも立つため、パーソナルトレーナーとして働きたいと考えている方は、取得を検討してみましょう。
※3出典:NSCA「NSCA認定資格とは」
※4資格認定に有効なCPR/AEDの認定には条件があります。
NESTA-PFT
NESTA-PFTとは、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)が発行しているパーソナルトレーナー向けの資格です※5。
取得要件 |
必須要件
(全部満たす必要がある) |
NESTA JAPANからPFTテキストを購入済み
CPR・AEDの技能を習得・保持している
日本国籍または、日本での就労可能な在留資格を有する
満18歳以上で、高等学校卒業以上の者、高等学校卒業程度認定資格試験合格者、またはNESTAが認定する教育カリキュラム修了者 |
該当要件
(ひとつ以上に該当する) |
1年以上のパーソナルトレーナー・インストラクターなどの実務経験がある
1年以上の運動部指導、フィットネス企業勤務経験がある
体育系または、医療系の大学・専門学校を卒業している
NESTAの認定する養成講座、養成コース(認定校・認定アカデミー含む)を受講済みである |
難易度 |
50%~60% |
取得までの費用 |
独学なら約8万円~約21万円 |
NESTA-PFTは体力やトレーニングに関するさまざまな知識を獲得できる資格のため、パーソナルトレーナーとして指導するときに役立ちます。
また、コミュニケーション能力やビジネススキルを磨くことも求められているため、スポーツコーチングと一緒に身につけると、クライアントや選手のやる気、能力がアップしやすくなる可能性があります。
※5出典:NESTA JAPAN(ネスタジャパン) -全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会「NESTA PFT認定 取得までの流れ」
まとめ
スポーツコーチングは選手やクライアントの主体性を向上させ、やる気や能力を引き出すコミュニケーションやスキルを指します。
スポーツやトレーニングなどの現場で求められている技術のため、将来的に指導者やトレーナーとして働くことを希望しているなら学んでおくと良いでしょう。
また、スポーツコーチング以外にもNSCA-CPTやNESTA-PFTを取得しておくと、役に立ちます。
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