スクワットは下半身を効率的に鍛えられるトレーニングです。筋肉量アップをはじめ、心身へのさまざまな効果に期待できます。
スクワットは自宅で取り組める手軽な筋トレとして広く知られていますが、基本的な種目であることからトレーニングジムでもスクワットを指導するケースがあります。個人で取り組むだけでなく、もしトレーナーを目指すなら、スクワットの詳しい知識をぜひ押さえたいところです。
この記事では、スクワットの効果や効果的なやり方、理想の頻度や注意点などを解説します。
スクワットは下半身全体を鍛えられるトレーニング
スクワットは、お尻や太もも、内ももなど、下半身全体の筋肉を中心として、広範囲を鍛えられる筋力トレーニングです。具体的にはお尻の筋肉である「大臀筋」や太ももの前側にある「大腿四頭筋」、太ももの裏側にある「ハムストリング」、背中の筋肉「脊柱起立筋」を鍛えられます。
下半身はとくに筋肉が多い部位で、全体の筋肉のうち約6割の筋肉が集まっているといわれています。スクワットをおこなうことで、多くの筋肉を効率的に鍛えることが可能です。
なお、スクワットは多くの筋肉を同時に鍛えられることから、ベンチプレスとデッドリフトに並ぶ「筋トレビッグ3」のひとつに数えられています。
スクワットがもたらす身体への効果
スクワットに取り組む前に、具体的な効果を知ることも大切です。以下では、スクワットをおこなうことで得られる効果を解説します。
下半身全体の筋肉量がアップする
先述したように、スクワットは下半身全体を鍛えられるトレーニングです。継続的におこなうことで、効率的な下半身の筋肉量アップに期待できます。
下半身の筋肉量アップはスポーツをおこなう際に役立つほか、「坂や階段を楽に登れるようになる」「歩くスピードを無理なく速められる」など、日常生活を送るうえでも役立ちます。
太りにくく痩せやすい体質を作れる
スクワットで筋肉を効率良く鍛えると、身体の基礎代謝も効率的に上げられます。
基礎代謝とは、人間が生命活動を維持するために最低限必要なエネルギーのことです。基礎代謝が高いと1日のエネルギー消費量が自然と増え、太りにくく痩せやすい体質を作れます。
また、基礎代謝が上がると内臓脂肪の効率的な燃焼にも期待できます。スクワットは下半身を鍛えたい方だけでなく、ダイエットを考えている方にもおすすめのトレーニングです。
冷えや肩こりなどの緩和につながる可能性がある
スクワットは、足を開いた状態でしゃがむ動作を繰り返しておこなうのが基本です。この動作が身体の血流促進に役立ちます。
下半身の筋肉には、重力で下がってきた血液を心臓に戻すポンプのような機能が備わっています。スクワットでしゃがむ動作を繰り返すことでポンプ機能の働きが活発になり、血液の流れが促されるしくみです。
血液の流れが促されると全身の細胞に酸素や栄養が行き渡り、冷えや肩こり、痛みなど身体の不調の緩和に期待できます。
自律神経のバランスが整う
スクワットによる効率的な血流促進は、自律神経のバランスが整う効果にも期待できます。
自律神経とは呼吸や消化、分泌など、人間の生命活動を維持する役割を担う神経です。自律神経には人を活発状態に導く「交感神経」とリラックス状態に導く「副交感神経」の2種類があり、これらの神経がバランス良く作用することで人の健康は保たれています。
自律神経のバランスは不規則な生活リズムや天候によって乱れることもあり、その結果としてめまいや腹痛などの不調を引き起こす場合もあります。
その点、スクワットによって血液の流れが促されると自律神経のバランスが整い、自律神経の乱れによる心身の不調を防ぎやすくなる可能性があります。
スクワットの効果的なやり方
ここでは、個人でスクワットをする場合やトレーナーとして客さまへ指導する場合に役立つ基本的なスクワットのやり方を紹介します。
- 両足を肩幅の位置まで開き、爪先をやや外側に向ける
- 息を吸いながら、お尻を突き出すような姿勢で腰を落とす
- 膝が90度に曲がったところで姿勢をキープする
- 息を吐きながら、膝を軽く曲げた状態まで姿勢を戻す
上記の手順を10回1セットとして、合計で3セットを目安におこないましょう。お客さまがスクワットに慣れてきたら、段階的に回数を増やしていきます。
10回1セット、合計3セットのスクワットをおこなうのがきつそうな場合は、少ない回数からおこなうことがおすすめです。
スクワットはフォームを理解して正しくおこなうことが重要
スクワットをおこなったり、トレーナーとして指導したりする際は、手順だけでなく正しいフォームを理解することが大切です。間違ったフォームでスクワットを続けると、思うような筋トレ効果を得られないほか、関節を痛める原因となる可能性もあります。
基本のスクワットは、以下のようなフォームで取り組みましょう。
- 前屈みにならないよう背筋を伸ばして、腹筋に力を入れる
- 膝を曲げるより、お尻を後方へ引くことを意識して腰を落とす
また、スクワットをおこなう際は、膝がつま先よりも前に出ないように意識することも重要です。膝が内側にあると関節に負荷がかかり、膝を痛める場合があるため注意してください。
バーベルスクワットならより高い筋トレ効果に期待できる
自宅では上記で紹介した基本的なスクワットをおこなうのが一般的ですが、フィットネスジムやパーソナルジムなどではバーベルスクワットもおこなえます。
以下では、バーベルスクワットの正しい手順を紹介します。
- 手幅を肩幅よりも広めに伸ばし、バーベルを持って肩に乗せる
- 両足を肩幅の位置まで開き、バーベルの真下に土踏まずがくるようにフォームを調整する
- 胸を張り、太ももと地面が平行になるまで腰を落として姿勢を戻す
バーベルは、首と肩の間にある僧帽筋に乗せるように意識します。バーベルを乗せている肩に痛みがあるようなら、バーベルにタオルを巻くと良いでしょう。
また、バーベルスクワットをおこなう際は、背中が丸くならないように注意してください。背中が丸くなると腰に負担がかかり、正しいフォームをキープすることが難しくなります。
バーベルスクワットの重量の目安は男性と女性で異なる
バーベルスクワットの重量の目安は、性別によって異なります。適切な重量は筋肉量によっても異なりますが、バーベルスクワット初心者の場合は男性が体重の0.8倍、女性は体重の0.4倍が重量の目安とされています。
なお、半年以上バーベルスクワットを継続している中級者〜上級者は、様子をみながら重量を上げるのも良いです。ただし、決して無理はしないように意識してください。
スクワットはどのくらいの頻度でおこなうのが理想?
スクワットの理想的な頻度は、トレーニング時にかける負荷によって異なります。先述した基本的なスクワットはかける負荷が低いため、毎日おこなってもとくに問題ありません。
ただし、器具を用いた負荷の高いスクワットは、「超回復」のことを考えて1日以上間隔を空けておこなうことをおすすめします。
超回復とは、休息をとることでトレーニングによって破壊された筋肉を修復し、以前よりも強い筋肉を作る現象です。超回復には48〜72時間の休息が必要とされており、しっかり休息をとることでより高いトレーニング効果に期待できます。
スクワットの筋トレ効果があらわれる時期
スクワットの筋トレ効果があらわれる時期は、トレーニング開始から3ヵ月前後が目安です。また、見た目の変化が身体にあらわれるのは、トレーニング開始から6ヵ月前後といわれています。
ただし、筋トレの効果があらわれる時期には個人差があるため一概にいえません。効果があらわれる時期にはこだわり過ぎず、焦らずに継続することが重要です。
スクワットをおこなう際のポイント
ここからは、スクワットをおこなう際のポイントを3つ紹介します。個人でスクワットに取り組みたい方や、トレーナーとしてお客さまにスクワットを指導する機会がある方は、ぜひ参考にしてください。
なお、正しいトレーニング指導をおこなうためには、人体のしくみや動きなどの専門的な知識を身につけることも重要です。人体に関する知識はスクワットの指導にも役立つので、ぜひ勉強しましょう。
ストレッチをしてからスクワットをおこなう
スクワットをおこなう際は、事前にストレッチをして身体をほぐすことが大切です。身体がほぐれていない状態でスクワットに取り組むと、関節や筋肉を傷める可能性があるので注意してください。
フォームの崩れに注意する
先述したように、スクワットのフォームが崩れていると、十分な筋トレ効果を得られない可能性があります。フォームの崩れは怪我の原因にもなるため、正しいフォームでおこなえているかどうかはよく確認しましょう。
とくに腰の反り過ぎには注意が必要です。腰が反り過ぎた状態でスクワットをすると、股関節の痛みや腰痛の原因になります。
痛みがあるときはしっかり休む
身体に痛みがある状態で無理にスクワットをおこなうと、痛みが悪化する可能性もあります。痛みが引かないようなら、医療機関を受診しましょう。
もし、トレーナーとしてスクワットの指導している際にお客さまが痛みをうったえている場合は、無理せずしっかり休んでいただくことが大切です。
実技に不安があるならトレーナー育成スクールへの通学もおすすめ
トレーナーとして実際にジムでお客さまを指導する際には、知識はもちろんのこと技術も必要となります。知識はあるものの技術を磨けていないと感じる方は、この機会にトレーナー育成スクールへの通学も検討すると良いでしょう。
トレーナー育成スクールは、トレーナーとして働くうえで必要なスキルをプロから学べるスクールです。トレーニングに必要な技術を学べるだけでなく、機能解剖学や栄養学、生理学などの専門的な知識も学べます。
また、スクールによっては、スクワットなどのトレーニング法の実技を学ぶことも可能です。
まとめ
スクワットは下半身全体の筋肉量アップ、太りにくく痩せやすい体質作り、冷えや肩こりの緩和など、さまざまな効果に期待できるトレーニングです。引き締まった下半身を目指せるのはもちろん、健康的な心身の維持にも役立ちます。
ただし、フォームが崩れたりストレッチを怠ったりすると、怪我につながる可能性があるので注意してください。
また、トレーナーとして指導する際に活かせる実践的な技術を培いたいなら、トレーナー育成スクールに通うのもおすすめです。
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